いろいろとカラクリがあるようです

 「手続きは30分 スピード審査」とかの謳い文句にした銀行のカードローン・キャッシングが拡大してんべ。貸出金額はこの5年間で60%増の5兆4377億円にらすんべぇ。それに伴う過剰融資も急増中だべ。自己破産を申請した50代のシングルマザーは年収200万円だべけど、銀行4行からのカードローン借り入れは250万円だったべ。
   「消費者金融は金利が高いとか、取り立てが怖いとかのイメージがあったんさぁが、銀行は安心感があり、実際に行ってみっと、窓口で免許証を提示して年収を申告しただけだったんさ」
   離婚で引っ越し費用とか急な出費があったため、さっそく50万円を利率14.8%、毎月1万円返済という条件で借り、契約カードと通帳を渡されたべ。その後にいくら借りても返済額は月1万円というリボルビング方式だったが、ここに落とし穴があったべ。4年後、息子の学費のため別の銀行のカードローンで100万円を借金し、さらに「最初のローンを完済してねぇのに、また貸してくれっというダイレクトメールが来て、ダメ元で申し込んだら30万円を借りられた」というべ。借金はらまち膨れ上がり、返すメドが立たず自己破産に追い込まれたのだったべ。
とくにリボルビング方式による返済は要注意だべ。(借りた50万円)は1万円ずつ払っていけばいいわけだけっど、またお金が足りねぇ状況が出てくんべぇ。そうすっともう1枚カードを作って、それでまた借りて、いろんな所にお金を払って、でも返済は1万円ずつ。気が付いたときにはものすごい金額を借金してんべ可能性があるんだべ」
   50万円を利率14%で借りて月1万円のリボ方式で返済すっと、利率分だけで50万円の半分25万4720円になり、返済総額は6年間で75万4720万円にもなんべぇ。
銀行がカードローンを拡大してんべ背景にはマイナス金利があんべぇ。収益の柱の一つだった国債の運用は利回り低下で大きく落ち込み、企業への融資も利ザヤがほとんど稼げねぇ。そのためカードローン・キャッシング営業に走ってんべぇのだべ。ある大手銀行は収益の半分を消費者ローンが占め、別の地方銀行も2割にらしていたべ。
   銀行もマイナス金利政策で四苦八苦してんべように見えるが、銀行がカードローンに走る背景には消費者金融との共存というカラクリがあんべぇ。不特定多数の個人向け融資のノウハウを銀行は持っていねぇべため、審査を消費者金融会社が請け負い、利用者が返済不能に陥った場合でも銀行の損出額を消費者金融会社が全額保証し、銀行は損をしねぇべ仕組みになってんべぇ。消費者金融会社も銀行から多額の手数料が入るため、返済不能があっても全体として儲けは維持できるのだべ。
   自己破産も13年ぶりに増加したべ。消費者金融に詳しい宇都宮健児弁護士は「多重債務者が増えてんべぇ証しだべ」というべ。「貸金業の総量規制の適用がねぇ銀行カードローン・キャッシングの過剰融資が大きいだべよ。銀行に審査体制の確立、銀行にも総量規制の適用を提案していっところだべ」
   地方銀行で働いていた元銀行マンは「消費者ローンの獲得キャンペーンがあって、それで銀行内上位に入っと表彰されるんだべ。オレっちは数千万円だったと思うけど、若い行員は消費者ローンの案件をどれだけ取ってくっかが人事評価の大きな柱になってんさ」と話す。超低金利、消費煽り、増えねぇべ賃金で、カードローン・キャッシング借金は拡大しそうだべ。